6月の投句箱

白夜

「白夜」

私が幹事を務めている夏潮池袋句会では、毎月私が一度も詠んだことのない題を出すようにしています。
「白夜」という題を出した時には、「渾々と湧きて白夜の泉かな」という俳句ができました。
いつか本当の白夜を経験してみたいです。

今回の選者

前北かおる(まえきた かおる)
選者:前北かおる
日本伝統俳句協会関東支部千葉部会長。
「夏潮」会員。句集『ラフマニノフ』、『虹の島』。

ブログ「俳諧師 前北かおる」 
YouTubeチャンネル「前北かおる」 

特選1

雨続く白夜の島の間欠泉葦たかし

選評

青空に噴き上げる姿を楽しみにやって来た間欠泉。アイスランド旅行の思い出でしょうか。
暮れないまま降り続く雨というのは、確かにつまらないような気がします。
想像ではなかなかたどり着かない世界だけに、臨場感があります。

特選2

ロープウェイ白夜の空を行き交へる水やうかん

選評

現地の人は、寝る間を惜しんで遊ぶと聞きました。
ロープウェイに乗っている人も、それを見上げている人も、バカンスを満喫していることでしょう。

特選3

これよりは白夜の続く旅となり大谷如水

選評

テント泊のツーリングとか、長期間にわたる旅行のようです。
「これよりは」という打ち出しに、感慨がこもっています。白夜の時季がやってきたというだけでなく、いよいよ極北の地に到達した充実感が伝わってきました。

佳作

まじないの煙明るき白夜かな宇佐美好子
プログラム丸め白夜を逍遥す無弦奏
太陽を燦燦と浴び白夜の子嘉門生造
紅の頬を露に白夜かな齋藤方南
跳ね橋の街に不思議の白夜かな町田明哉
鍾乳洞抜けて白夜の野外フェス田畑 整
シベリアの句会を照らす白夜光防子
すべらかな木々の連なる白夜かな古本屋
海に触れまた昇りゆく白夜の陽林山千港
円柱を背にす白夜の弾き語りキートスばんじょうし
ウィスキー空いて白夜の地平線釜眞手打ち蕎麦
黄金の十字架高く白夜かな静海
ダリの絵は殆ど白夜昼の月ホテン
点滅の翼降下の白夜かな富雪
清酒提げ白夜の国に降り立ちぬ

気になる句

常夏の国に白夜の話など
面白いと思いました。
話題になった物などがもう少し具体的になると、一句の世界がリアルに感じられるかもしれません。

選者吟

黄昏にどつぷり浸かる白夜かな前北かおる

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