「犬ふぐり」
さあ、書を捨てて野に出よう。犬ふぐりを探しに行こう。
犬ふぐりたちはきっと何かを語りかけてくれるでしょう。
今月の選者
池田雅かず(いけだ まさかず)
卯浪俳句教室「卯浪OSAKA」講師
https://unami-osaka.jimdosite.com/
日本伝統俳句協会関西支部企画委員
公益財団法人虚子記念文学館常務理事
精神対話士
https://unami-osaka.jimdosite.com/
日本伝統俳句協会関西支部企画委員
公益財団法人虚子記念文学館常務理事
精神対話士
“ふれあって・こころ・ゆたかに“
たった十七音の言の葉を媒介にして、自然とふれあい、人とふれあい
「今・ここに・生きていること」
その実感と歓びを共感の心でシェアすること。
それが私にとっての俳句です。
特選1
犬ふぐり畔塗の手を休めけり工藤悠久
選評
田起こしの後崩れた畔を直しモグラの通り道をふさいで、水もれを防ぐためにすることを「畔塗」という。
恪勤に黙々と作業をする農夫。ふと畔の犬ふぐりに気づく。彼らを見つめる優しい表情が映像を結ぶ。
早春の農村の心なごむ一景である。
恪勤に黙々と作業をする農夫。ふと畔の犬ふぐりに気づく。彼らを見つめる優しい表情が映像を結ぶ。
早春の農村の心なごむ一景である。
特選2
水色の瞳ルルルル犬ふぐり内藤一個
選評
俳句は直感だ。だから水色の瞳と犬ふぐりの間を余計な言葉で繋がず「ルルルル」とだけ。「ララララ」でもなく「ふふふふ」でもないのだ。
実際に犬ふぐりをみたらすとんと腑に落ちた。感覚的な言葉だがそれ故想像の翼を広げることができた。
実際に犬ふぐりをみたらすとんと腑に落ちた。感覚的な言葉だがそれ故想像の翼を広げることができた。
特選3
犬ふぐり町行く人の足はやき松尾なおゆき
選評
都会の一画、こんな処にも犬ふぐり。しかし都会人たちみな忙しいのか足早だ。誰も地べたの彼らに気づくこともない。
だが一人の詩人が歩を止めた。「やっと気づいてくれたんだね」彼らは詩人にそう語りかけ、そして詩人もその声にそっと寄り添った。
だが一人の詩人が歩を止めた。「やっと気づいてくれたんだね」彼らは詩人にそう語りかけ、そして詩人もその声にそっと寄り添った。
佳作
踏まれても色失わず犬ふぐり道中義臣
初めての散歩の子犬いぬふぐり中島容子
朽ち果てし野外劇場犬ふぐりdragon
この村に住めば友なる犬ふぐり杉尾芭蕉
一万歩往けば待ちたる犬ふぐり赤福餅
江戸川を足のむくまま犬ふぐり麦秋
犬ふぐり赤きペダルの三輪車石塚彩楓
神様のほほえみの色犬ふぐり石原由女
吾子の目の行く先々に犬ふぐり戸村友美
いぬふぐり童話の国の星あかり祐
一斉にお日さま見あぐ犬ふぐり砂月みれい
犬ふぐり吾子はじめての靴を履く工藤悠久
ころころと転がる球や犬ふぐり白鳥稔
犬ふぐり象のかたちの滑り台星月彩也華
宇宙への夢見てゐるや犬ふぐり佐久凡太郎
初めての散歩の子犬いぬふぐり中島容子
朽ち果てし野外劇場犬ふぐりdragon
この村に住めば友なる犬ふぐり杉尾芭蕉
一万歩往けば待ちたる犬ふぐり赤福餅
江戸川を足のむくまま犬ふぐり麦秋
犬ふぐり赤きペダルの三輪車石塚彩楓
神様のほほえみの色犬ふぐり石原由女
吾子の目の行く先々に犬ふぐり戸村友美
いぬふぐり童話の国の星あかり祐
一斉にお日さま見あぐ犬ふぐり砂月みれい
犬ふぐり吾子はじめての靴を履く工藤悠久
ころころと転がる球や犬ふぐり白鳥稔
犬ふぐり象のかたちの滑り台星月彩也華
宇宙への夢見てゐるや犬ふぐり佐久凡太郎
気になる句
犬ふぐり地球のあをを足しにけり
犬ふぐりと地球。小に大の取り合わせ。面白いですが、このスケールならもっと常識を逆転させてみては如何でしょう。
たった一字触るだけです。また「を」の重複も視覚的に少し気になりました。
「犬ふぐり地球に碧を足しにけり」
たった一字触るだけです。また「を」の重複も視覚的に少し気になりました。
「犬ふぐり地球に碧を足しにけり」
選者吟
いぬふぐり色を辿つて伸ばす試歩雅かず
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