「薔薇」
私の住む八千代市には京成バラ園があり、たくさんの品種を世に送り出しています。
庭園の薔薇は、それぞれに名前がつけられています。
「薔薇の名を旅するがごと巡るかな」と詠んだことがありますが、名札を見てまわるだけでも素敵な気分になれます。
今回の選者
特選1
君と良く似たママのいる薔薇の家GONZA
選評
彼氏の家を訪れるのも初めてではないのでしょう。相手の母親の印象が飾らない表現で詠われていて、好感度が高かったです。「家」と言って、直接人を描かなかったところも巧みです。
特選2
隠し持つ言葉のつるぎ薔薇の花高木音弥
選評
口に出すことはなくても、人を傷つけるような言葉が心に浮かぶことはあります。作者は、薔薇を見ながら、そのことを改めて自覚したのです。
「隠し持つ」「言葉のつるぎ」とあからさまでなく言ったところが上品です
「隠し持つ」「言葉のつるぎ」とあからさまでなく言ったところが上品です
特選3
閼伽桶の101本の赤い薔薇たま走哉
選評
101歳を前に大往生されて、誕生日に納骨という場面を想像しました。かなり特殊な状況を印象的な物だけで描いていて、見事な表現だと思いました。
佳作
彼からの薔薇の花束二十歳の日戸村友美
地下鉄に薔薇の花束抱く男伊藤順女
命日の雨とめどなく薔薇の庭小路
いちめんの薔薇に中ってしまいけり中島容子
週末のために薔薇を買ひにけり高岡春雪
薔薇の門くぐれば三ノ輪橋電停中島容子
「新雪」の名札へ白き薔薇の散るぼてち
雨上がり薔薇の雫に映る色 一鹿の子
薔薇を背に袋小路を戻りけり落句言
空き缶に一本の薔薇無人駅楠丘
静物デッサン今日の薔薇は不機嫌ノセミコ
ねむの木の庭の薔薇や夕迫るこのみ杏仁
薔薇の門潜る先から歌声が岡崎梗舟
夕暮れのショパンのソナタ薔薇館岡崎梗舟
イングリッドバーグマンなる薔薇を挿す風来
地下鉄に薔薇の花束抱く男伊藤順女
命日の雨とめどなく薔薇の庭小路
いちめんの薔薇に中ってしまいけり中島容子
週末のために薔薇を買ひにけり高岡春雪
薔薇の門くぐれば三ノ輪橋電停中島容子
「新雪」の名札へ白き薔薇の散るぼてち
雨上がり薔薇の雫に映る色 一鹿の子
薔薇を背に袋小路を戻りけり落句言
空き缶に一本の薔薇無人駅楠丘
静物デッサン今日の薔薇は不機嫌ノセミコ
ねむの木の庭の薔薇や夕迫るこのみ杏仁
薔薇の門潜る先から歌声が岡崎梗舟
夕暮れのショパンのソナタ薔薇館岡崎梗舟
イングリッドバーグマンなる薔薇を挿す風来
気になる句
薔薇よりも消火器の似合ふ女なり
自虐ということであれば、面白いと思いました。作者自身のことだと自信を持って言い切れなかったので、こちらにいただきました。
選者吟
むらがりて薔薇らしからぬ小花かな前北かおる
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