4月の投句箱

空

「日永」

稽古会などで朝から晩まで句会三昧が続くと、さすがに疲れが溜まってきます。
そんな時には、横着して布団の中や朝風呂、昼風呂で俳句を詠むことが多いです。
九州の能古島では、「湯船より小虫を掬ふ日永かな」という俳句ができました。

今回の選者

前北かおる(まえきた かおる)
選者:前北かおる
日本伝統俳句協会関東支部千葉部会長。
「夏潮」会員。句集『ラフマニノフ』、『虹の島』。

ブログ「俳諧師 前北かおる」 
YouTubeチャンネル「前北かおる」 

特選1

人類の赦されてゐる日永かなGONZA

選評

ずいぶん大きく出たなという感じですが、そこに俳諧らしい味わいを感じました。こんな考えが浮かぶほど、のどかに暮れていこうとする一日だったのでしょう。

特選2

鰹節かいて日永の厨かな参山

選評

家庭ではなくて、お店の厨房かもしれません。ゆったりと仕事に取り掛かったところを端正に切り取っていて、好感度が高かったです。

特選3

黒猫のうあんと欠伸して日永比良田トルコ石

選評

「うあんと」という擬態語が、欠伸の姿勢や動きを見せてくれるようで、うまいと思いました。つれない黒猫のかわいい姿に、くつろいだ空気を感じたのでしょう。

佳作

永き日や波にころがる虚貝いわきりかつじ
自転車を推して日永の道を行く百緑
永き日や定石事典小目編清瀬朱磨
新人のスーツ繰り出す街日永香舟
神鈴のぐわらんぐわらんと鳴る日永伸瑚
ランドセルベンチに並ぶ日永かな千代 之人
永き日の石舞台過ぐ雲の影石塚彩楓
命日に姉妹が集う日永かな戸村友美
見習いと八十歳の日永かな坂口いちお
日永かな鳥よけテープ風に揺れ木村隆夫
占いの順番待ちて日永かな柚木みゆき
永き日や机かたして退職日遊羽女
永日の窓カーテンを挟みけり河島 勇人
永き日や花びら浮かぶティーポット桜鯛みわ
洗濯物叩いてくしゃみ出る日永江口朔太郎

気になる句

日永かな月が段々遠くなる
取り留めもない考えが一句にされていて、これもまた「日永」らしく思われました。実際の天体の動きに理由があってのことなのでしょうか。その辺りが気になりました。

選者吟

雨過ぎて日永の虹の立ちにけり前北かおる

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