「凩」
冬の初めに吹く強い北風。この風によって木々はたちまち葉を落とし、枯木となる。
三冬に亘って使われる「北風」との区別が必要。
三冬に亘って使われる「北風」との区別が必要。
今回の選者
長谷川槙子(はせがわ まきこ)
1962年生まれ
都内女子校の国語科講師。鎌倉に住み、吟行をこよなく愛する。
卯浪俳句教室講師。
都内女子校の国語科講師。鎌倉に住み、吟行をこよなく愛する。
卯浪俳句教室講師。
特選1
凩や高層ビルのぶっきらぼうダック
選評
高層ビルが「ぶつきらぼう」とは、大都会に吹く凩を言い得て妙。やはり木々を吹き枯らしてこその凩なのだ、と改めて思った。
特選2
木枯しや窓辺は人を恋うところ久森ぎんう
選評
美しい景色を眺めるのもよいけれど、窓辺は人を恋しく想うのが似合う場所。
戸外に、木の葉を散らす冷たい北風が吹いていれば尚のこと。
戸外に、木の葉を散らす冷たい北風が吹いていれば尚のこと。
特選3
凩や星を南の空へ寄す清瀬朱磨
選評
オリオン、牡牛座、大犬座―冬の星座が南の空に寄っているのは、凩が吹き寄せたから―と、私もこの句の作者のような詩心をもって詠いたい。
佳作
凩の止むつかのまの葉のさゆれ河島 勇人
凩や天辺に葉のなき大樹青蛙
木枯や中途に入りし映画館長谷機械児
凩の夜道に一つ街路灯富雪
凩や亡き人の声後ろから薩摩っぽ
木枯や買い物帰りの妻に遇ふ茫々
凩や雑巾きゆつと絞りたる赤福餅
凩や沖のうねりの牙のごと愛燦燦
凩や日向を選んで歩くねことば雪華
上野へと凩止まぬ夜汽車かな坂口いちお
凩の磨きあげたる星の夜中島容子
凩や塾の灯りの煌々とdragon
凩や隠れ場所無きかくれんぼ七里
木枯や窓にお迎へ待つ園児みずな
凩や学び直しの辞書を買う宇波まり
凩や天辺に葉のなき大樹青蛙
木枯や中途に入りし映画館長谷機械児
凩の夜道に一つ街路灯富雪
凩や亡き人の声後ろから薩摩っぽ
木枯や買い物帰りの妻に遇ふ茫々
凩や雑巾きゆつと絞りたる赤福餅
凩や沖のうねりの牙のごと愛燦燦
凩や日向を選んで歩くねことば雪華
上野へと凩止まぬ夜汽車かな坂口いちお
凩の磨きあげたる星の夜中島容子
凩や塾の灯りの煌々とdragon
凩や隠れ場所無きかくれんぼ七里
木枯や窓にお迎へ待つ園児みずな
凩や学び直しの辞書を買う宇波まり
気になる句
凩や残る一葉の強きかな
切字「や」「かな」の併用が惜しい。
「凩に残る一葉の強さかな」と「かな」に託して一気に詠む方が、凩に耐える只一枚の葉の健気さが際立つのでは。
「凩に残る一葉の強さかな」と「かな」に託して一気に詠む方が、凩に耐える只一枚の葉の健気さが際立つのでは。
選者吟
凩や一番星が揺れてゐる槙子
Web投句箱への投句はこちらから
今月のweb投句はこちらのページで募集しています。
ふるってご参加ください。