9月の投句箱

萩の花

「萩」
秋の七草の筆頭に挙げられるものの、本当は木。
万葉集の時代には萩の花見も行われた。
くさかんむりに秋と書く、まさに秋の花の代表。

今回の選者

長谷川槙子(はせがわ まきこ)
鎌倉一条恵観山荘の庭園で見つけた「猪の目」(いのめ)。ハート形に見えます。
1962年生まれ
都内女子校の国語科講師。鎌倉に住み、吟行をこよなく愛する。
卯浪俳句教室講師。

特選1

閼伽水をそつと零して萩の道矢想

選評

み仏に供える水を、少しだけ萩にも掛けてやったのだろう。
「そっと零して」が一句の眼目。
萩の中に立つ作者の心まで見える。

特選2

萩ゆれて先師現はれさうな路地立部笑子

選評

路地に枝垂れる萩を見ていたら、ふと先師に会える気がした。
優しく揺れる萩が、亡き師の人柄や作者の敬愛の大きさを想わせる。

特選3

記念碑に治水の歴史零れ萩ぶえもん

選評

川の氾濫などに苦しんで来た歴史を持つ土地。今は記念碑に往時を偲ぶばかりである。
萩の散り零れた碑の傍に、美しい水音を感じさせる妙。

佳作

こぼれ萩看板のない茶道具屋まいける
萩揺れて優しい母になりたくて藤れんぎょう
ほろびゆく寺に白萩あふれけり茫々
駒ヶ根の沢水甘し萩の風富雪
だんじりの萩を掠めて行き過ぎる長谷機械児
安産を祈願の二人萩の門赤福餅
一叢の白き萩咲く閻魔堂かとしん
尼寺の書道教室萩の花清瀬朱磨
萩揺れてブラスバンドの音合わせ一日一笑
萩散るや小学校は避難所に平井伸明
萩の戸をくぐり離れへ往診医宇宙ひろ子
休耕を幾年重ね乱れ萩千代 之人
淋しげな人に寄り添ふ萩の花シェ-シェ-
傷つけぬための嘘なり萩の花たま走哉
人住まぬ家や白萩重なりて富田渓峰

気になる句

陰口も妬みも人よ乱れ萩
咲き乱れる萩を見て、人の世には陰口や妬みのあることに思い至った作者。
上五中七を少し整えて、「誹るのも妬むのも人」等となさってみては。

選者吟

白萩の花より多き雨の粒槙子

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