8月の投句箱

「流星」
「流れ星」「夜這星」とも。
その正体は、発光した宇宙塵。とは言え、澄んだ夜空にしか見えない神秘的な現象であることに違いはない。

今回の選者

長谷川槙子(はせがわ まきこ)
鎌倉一条恵観山荘の庭園で見つけた「猪の目」(いのめ)。ハート形に見えます。
1962年生まれ
都内女子校の国語科講師。鎌倉に住み、吟行をこよなく愛する。
卯浪俳句教室講師。

特選1

流れ星明日のパンを買ひに出る艀舟

選評

明日食するパンを買いに出るという何でもない日々の営みを、流星が明るくしてくれた。家族や自分自身を大切に生活できるのは、素敵なこと。

特選2

夜這星亡夫の知らぬ人とゐてみなと

選評

夫亡き後に知り合った人と共に、流れ星を見た。夫はこの人を知らないのだ。空を走る一瞬の光が蘇らせたのは、夫を亡くしてからの作者の歳月。

特選3

杉が枝のかすかに揺れて星流る勝本熊童子

選評

杉の枝が微かに揺れたことと星が流れたことは、もちろん無関係。けれど、流星が枝を揺らしたかと想わせる詠い方が魅力。

佳作

流星や新幹線がやってくるとんぶりっこ
夜這星ふたりっきりの散骨式ノセミコ
流星やひとつ毛布にくるまっていちご一会
縁台は実家の形見流れ星まいける
流星や阿蘇高原の深き闇みずき
星飛ぶや空海いまもおはす山柚木みゆき
星飛んでなお仄暗き水面かな太平楽太郎
流星や平和の祈り終えぬ間に宮村土々
前髪の僅かに揺れて星流る菫久
神杉の高き夜空や流れ星ぶえもん
流星にまた追ひ抜かれ夜行バス多々良海月
流れ星真闇に光る深海魚ダック
流星やミントの香る人といる中島容子
流れ星忘れたはずの夢ひとつ清瀬朱磨
流星や握り拳の中は空中島走吟

気になる句

水割りのことりと氷流れ星
グラスの中に浮かぶ氷と、流れ星の取り合わせに惹かれた。「水割りの氷ことりと流れ星」と詠めば、流れ星も氷も読者の心の中に鳴る。

選者吟

流星や窓辺に吊す千羽鶴槙子

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