「返り花」
葉を落としきった枝に一二輪の桜の花。
春とはまた別の風情です。
今回の選者
山本素竹(やまもと そちく)
1951年生まれ
書と篆刻の個展を続ける
朝日俳壇賞、日本伝統俳句協会賞など
書と篆刻の個展を続ける
朝日俳壇賞、日本伝統俳句協会賞など
特選1
枯れながら四五輪ほどの返り花釜眞手打ち蕎麦
選評
老木というか枯れている部分のある桜の枝に返り花。枯れているところに目を留めて一句となった。
特選2
返り花富士を小さくしてゐたり琉奏
選評
なんと雄大な景色だろうか。そして、富士山でさえも脇役にしてしまう「返り花」が頼もしい。
特選3
二百本並木の一枝返り花夏海
選評
返り花はそう頻繁に見ることはできない。掲句のように足を使わなければ出会えないのだ。返り花の背景が描かれている。
佳作
茶屋街の暗き石段返り花沙那夏
返り花薄桃色に日を透かす石塚彩楓
返り花存続決まる渡し船多々良海月
老木の枝先ひそと返り花伊藤順女
返り花一人写真を撮りにけり参山
返り花俯くやつが目立ちをり林山千港
澄みわたる空にきえゆく返り花柿内澄子
返り花たった二日で逝った姉千代之人
一輪のしろきひかりや返り花かとの巳
一二輪見上げ風の香返り花原島夏翠
曇り空ほころぶように返り花とんぶりっこ
紅白帽囲む古木の返り花創遊
温暖化いや違うかな返り花山口雀昭
逆光に見失ひけり返り花水希
塀の上風に震える返り花艀舟
返り花薄桃色に日を透かす石塚彩楓
返り花存続決まる渡し船多々良海月
老木の枝先ひそと返り花伊藤順女
返り花一人写真を撮りにけり参山
返り花俯くやつが目立ちをり林山千港
澄みわたる空にきえゆく返り花柿内澄子
返り花たった二日で逝った姉千代之人
一輪のしろきひかりや返り花かとの巳
一二輪見上げ風の香返り花原島夏翠
曇り空ほころぶように返り花とんぶりっこ
紅白帽囲む古木の返り花創遊
温暖化いや違うかな返り花山口雀昭
逆光に見失ひけり返り花水希
塀の上風に震える返り花艀舟
気になる句
返り花気づく人無く散りにけり
人知れぬままに散りけり返り花
もともと返り花が散るとき……などよっぽど運が良くなければ出くわすこともないであろう。つまり散った後の景と思われるが良く似ている。選句をする身としては残念ながらどちらも採らないことになる。
俳句では新鮮に感じるものに魅力がある。つまり発見の価値なのである。一つの句会で二つの同じような句では、無きに等しい。
想像して作るとそういうことが起こりやすい。
俳句では新鮮に感じるものに魅力がある。つまり発見の価値なのである。一つの句会で二つの同じような句では、無きに等しい。
想像して作るとそういうことが起こりやすい。
選者吟
青空に雲の速さよ返り花素竹
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