6月の投句箱

アジサイとアマガエル

「雨蛙」

間近に目が合っても意思の疎通はできなそう
でも憎めませんね

今回の選者

山本素竹(やまもと そちく)
山本素竹のアイコン
1951年生まれ
書と篆刻の個展を続ける
朝日俳壇賞、日本伝統俳句協会賞など

特選1

雨蛙ご飯の炊ける匂ひかな城内幸江

選評

湿度が高い方が色々な香りも活き活きと伝わってくる。朝から気持ちの良い句。

特選2

葉の色になりきつてゐる雨蛙珈琲斎

選評

蛙にそのような気持ちはないのだろうが、人の目にはそんな風に見える態度だ。

特選3

蛙鳴く茶室に柄杓の音静かちま

選評

「に」は要らないようだが、外の蛙の動、そして茶室の静けさが伝わってくる。

佳作

噴水の止んで見つかる雨蛙寺津豪佐
よちよちの吾子や両手の青蛙三宅鴉
虫の目に巨大怪獣雨蛙田んぼ
吸盤の透ける葉裏や雨蛙珍酒
草の上きれいな貌の雨蛙みなと
草にゐて草より青き青蛙まこと
雨蛙鳴いているから部屋干しに田畑 整
夜の静寂(しじま)破る一匹雨蛙宮武濱女
雨降るや忽ち鳴きぬ雨蛙大谷如水
雨蛙白き腹みせガラス窓WAKO
一匹に目を覚まされし雨蛙香舟
雨蛙一刻鳴いてそれきりにもりこふん
雨粒と共に跳ねるは雨蛙与太郎
離陸機の窓にぴたりと雨蛙悠久
雨蛙鳴きて行人急ぎ足句駄乱

気になる句

はやややや厨(くりや)に五匹雨蛙
「(くりや)」とわざわざ読みを説明する必要はありません。親切かもしれませんが読者には邪魔になるばかり、句の良さが半減されてしまいます

選者吟

夜の雨の道路に数多雨蛙素竹

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