2月の投句箱

紅梅

「紅梅」

公園に早咲きの紅梅があり見に行く
他には何も咲いていない公園だ

今回の選者

山本素竹(やまもと そちく)
山本素竹のアイコン
1951年生まれ
書と篆刻の個展を続ける
朝日俳壇賞、日本伝統俳句協会賞など

特選1

紅梅や雑木林の艶めけり酔猿

選評

中七下五の表現が出色。なるほどそのような捉え方もあったのかと思わされた。
一人のマドンナがいて取り巻く男どもがいる。さしづめ私もその中の一人かと……。

特選2

紅梅や雨滴の中になほ紅く蒼鳩 薫

選評

紅い花びらに焦点を絞った見方。雨雫を通して見える紅梅の色は、実際の紅よりも濃く鮮やかに見えているのだ。
見ている作者の、心の華やぎが伝わってくる。

特選3

白も咲きいよよ紅梅らしくなる夏海

選評

国旗もそうだが、日本では「紅白」という対比が尊重されている。
紅梅は早咲きが多く、しばらくして白梅が咲き、いよいよ出揃ったと梅を愛でる作者である。

佳作

紅梅をコツンと揺らす白い球安楽人
紅梅の小さき吐息の風に乗り石原由女
街灯に紅梅の香の仄かなりむぎネコ
紅梅や空の青さを濃くしたるdragon
紅梅の入れ墨入れて叱られて綉綉
紅梅の下の野点や緋毛氈大谷如水
紅梅や畑に出る日近づけりおさむ
紅梅を落ちて無色の雫かな珍酒
紅梅の香に立ち上がる車椅子香舟
紅梅に触れたる風の艶めきて珈琲斎
紅梅や木口に発す紅の色釜眞手打ち蕎麦
紅梅の微熱あるかに震えけり寺津豪佐
紅梅やいつも通らぬ角曲がるモモ
紅梅や白き御嶽いただきてけいこ
紅梅に淡雪といふ薄化粧まつぼっくり

気になる句

曇天に紅梅の色なまかし
いろいろ想像してみたがやはり、め…の一文字が抜けているのだろうと結論づけた。
投句のおり一文字抜けたりすることは私も経験している。メールなどでは特に打ち間違いなど起こりやすい。
掲句「め」が入っていれば特選にしたかった句なのだが、他人が一文字加えるわけにもいかないのが現実。
それにしても「紅」の色にはたくさんの表情があるものだ。

選者吟

紅梅の古木太らぬ幹をもて素竹

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