5月の投句箱

2018年4月のお題「柏餅」

今回の選者

田丸千種(たまる ちぐさ)
田丸千種のアイコン
日本伝統俳句協会本部講師 俳歴30年
第26回日本伝統俳句協会賞受賞
句集『ブルーノート』で与謝蕪村賞奨励賞

特選1

志工学にあり柏餅山の星

選評

中学生か高校生か。まだまだ何にでもなれる年頃だろうが、当人は工学を目指して揺るがない。若き一徹がすがすがしく、作者はそんな少年の雄大な未来を祝福している。製図を思わせるような硬質で端正な仕上がりの一句。

特選2

甘党の男ヘラヘラ柏餅貝殻虫

選評

なかなか俳句には登場しないヘラヘラ男。「柏餅」の本情からは真逆とみえるが、それはつまり「柏餅」らしさをふまえているということ。「桜餅」で置き換えると救いようのない男だが、このモデルにはどこか見所があるのだろう。俗に堕ちず踏み止まっている「柏餅」の手腕。

特選3

味噌餡に口驚きて柏餅みどり

選評

柏餅の「味噌餡」もすっかりポピュラーとなった。柏餅に限らず、当節は何でも味のバリエーションを増やす方向にあるようだが、作者はそんな風潮にちょっぴりもの申したく思っているのかもしれない。一句のとぼけ方が、他にも多かった味噌餡句を一つ抜けた。

今月の気になる1句

在りし日の山と積まれし柏餅
かつて大家族で作り、端午の節句に供えられた柏餅。家長在りし頃の盛んなる一家を想像させるこの句は、「柏餅家系賤しといふに非ず 虚子」の句にも通じるものがある。
が、平成も終りに近い現代に生活している者にとって、実感としての「柏餅」が今一つ迫って来ず、疵のない表現と思いつつ、ごめんなさいした句でした。

佳作

 

三つ重ね蒸籠湯気噴く柏餅    秋山白兎
柏餅への字の口は父ゆづり    たいぞう
葉脈は木の形して柏餅      隣安
コンビニでひょいと手の出る柏餅 風来子
七十も七つも男の子柏餅     青垣
泣く子にも泣かせた子にも柏餅  今村征一
玄関に靴がいつぱい柏餅     渡辺光子
膝っこぞう並べ兄弟柏餅     五月
縁側に母の客ありかしは餅    
大らかに口に入れたる柏餅    きゆみ
柏餅娘とともに失せにけり    雅奇
筆太の貼紙壁に柏餅       dragon
初任給貰ひし我が子柏餅     充秘郎
曾祖母の植ゑし木よりの柏餅   さつき
小豆餡丹波ぶりなる柏餅     桔梗

選者吟

神童は悪童が好き柏餅千種

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