「薄氷」
春先、薄く張った氷や解け残った氷をいう。
残る氷、春の氷とも
今回の選者
小川龍雄(おがわ たつお)
1952年生まれ
1978年から句作
日本伝統俳句協会理事
1978年から句作
日本伝統俳句協会理事
特選1
閉園の鉄扉動かぬ薄氷松湖
選評
少子高齢化や過疎の問題などで、観光施設や教育施設の閉鎖が多いと聞く。固く閉ざされた扉の中の潦に薄氷が張っている。現代社会の一断面を詩に昇華させた。
特選2
薄氷をつつく学級閉鎖の子手銭涼月
選評
インフルエンザによる学級閉鎖だろう。罹患していない子にとっては休みになるのだから嬉しいかもしれないが、如何せん外に遊びに出るのは憚られる。庭の薄氷相手に遊んでいる。何となくつまらなさそう。
特選3
薄氷買ひ物を手に跳んでみるみなと
選評
買い物袋を手にしたまま薄氷を飛び越えてみた。良いことでもあったのか、心が少し浮き立った感じが出ている。心が軽いときには童心にも帰れる。
佳作
遥かなる比叡輝く薄氷泥亀
薄氷に載る壱円の軽さかな悠久
川魚の生簀丸ごと薄氷へる征一
薄氷を乗せて小川は本流へのりこ
陽光に輝きゆるむ薄氷妙翠
薄氷や真白き富士に言葉無く麦秋
薄氷を割ってさみしい夕日かな野原
野鳥来て水に戯れ薄氷笑子
薄氷割る子跨ぐ子元気な子八十二
老木に支柱の幾つ薄氷土佐文旦
薄氷を跨ぎきれずに和服の娘みゃん
薄氷を割りて始発のバスに乗り佳織
薄氷の二度と生れぬ模様かな比々き
水桶の傾くままに薄氷ごぼうの花
休職を届けて春の氷ふむ北見
薄氷に載る壱円の軽さかな悠久
川魚の生簀丸ごと薄氷へる征一
薄氷を乗せて小川は本流へのりこ
陽光に輝きゆるむ薄氷妙翠
薄氷や真白き富士に言葉無く麦秋
薄氷を割ってさみしい夕日かな野原
野鳥来て水に戯れ薄氷笑子
薄氷割る子跨ぐ子元気な子八十二
老木に支柱の幾つ薄氷土佐文旦
薄氷を跨ぎきれずに和服の娘みゃん
薄氷を割りて始発のバスに乗り佳織
薄氷の二度と生れぬ模様かな比々き
水桶の傾くままに薄氷ごぼうの花
休職を届けて春の氷ふむ北見
今月の気になる1句
薄来の解けざるままに日暮れけり
勿体ない。変換ミスとは思うが薄来では採れない。この句、漢字は五個しかないのだから確認はしっかりして欲しい。他の句にも変換ミスと思われる誤字脱字が散見されたので敢えて。「来」の一字で入選を逃してしまった。
選者吟
薄氷に一人遊びの寂しき子龍雄
Web投句箱への投句はこちらから
今月のweb投句はこちらのページで募集しています。
ふるってご参加ください。