1月の投句箱

悴む

「悴(かじか)む」

手足、時には口も凍えて自由が利かなくなります。

今回の選者

小川龍雄(おがわ たつお)
小川龍雄のアイコン
1952年生まれ
1978年から句作
日本伝統俳句協会理事

特選1

かじかんで解答用紙まだ白紙あゆか

選評

お尻の下に両手を入れて手を温めながら問題を見る。分かればすぐに解答を書き始めるが、分からなければ手はいつまでもお尻の下。昔の自分が目に浮かんできた。季題が効いている。

特選2

悴みし指で数へる五七五にゃんこ

選評

指で数えるのは俳句の基本中の基本動作。敢えて厳寒を求めて吟行会を催すこともある身として、非常に共感できる。脳も悴んできた時には指の出番である。

特選3

悴みてひとり見学する体育天弓

選評

体調が悪いか怪我か、体育の授業に参加せずに見学する。体育座りで体育館の隅や校庭の隅が定位置である。特に体育館は寒かった。二人いればくっついていたが、一人だと凍え切ってしまう。

佳作

悴みて腹話術めく会話かな由づる
悴みて駅伝通過待ちにけり敦子
悴みて釣銭一つ零しけり 秋山白兎 
悴める子の手の記憶阪神忌たいぞう
頬を刺す風に笑顔も悴みて知子
こま切れのフォークソングを悴みて隣安
悴みし手に抗うや釦穴汪 妻幸
悴みて子らも無口となりにけり英世
悴む手顔に当てたる後ろ誰東西 南北
悴んで口に出せぬぞあいらびゆう綉綉
ひとり寝の悴む足も寝付くまでふーてぃえん
濯ぎ干す悴む指をなだめつつせいは
悴みて鍵穴狭くなりにけり城内幸江
悴みて朝礼の子ら整列す伊藤順女
悴むやホームで捲る単語帳銀雨

今月の気になる1句

悴むや放せど膝に戻る猫
お上手な句と思うが、季題の選択の難しさが感じられる句。中七下五からは、どうしても日向ぼこの景色が見えてくる。

選者吟

悴みて何かを言うてをりたる子龍雄

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