俳句を作ってみたいと思っているあなたへ、俳句の基本をご紹介します。
その一、俳句の約束はたった2つ
・5・7・5 の 17 文字(音)で作る
・季節の言葉(季題)を入れる
この二つを守れば、もう立派な俳句です。
5・7・5 の 17 文字(音)で作る
定型
和歌から連歌、連歌から俳諧が生まれ、その俳諧の発句が独立したものが「俳句」です。
5 音と 7 音 の繰返しは、古くから日本人にとって快く感じられるリズムなのです。
正調の句
行春を近江の人とをしみける 松尾芭蕉
幾たびも雪の深さを尋ねけり 正岡子規
とヾまればあたりにふゆる蜻蛉かな 中村汀女
破調の句
句またがり(言葉が上の句と中の句、または中の句と下の句にまたがる)
明ぼのやしら魚しろきこと一寸 松尾芭蕉
大学のさびしさ冬木のみならず 加藤楸邨
字余りの句
赤い椿白い椿と落ちにけり 河東碧梧桐
雪はげし抱かれて息のつまりしこと 橋本多佳子
※字余りや破調により独特の効果をもたらすことも多いのですが、初心の頃は音節の切れと意味の区切れを一致させ音感に慣れることが大切です。
季節の言葉(季題)を入れる
季節を詠う
俳句は季節を諷詠する文芸です。
荒海や佐渡によこたふ天の川 松尾芭蕉
遠山に日の当りたる枯野かな 高濱虚子
ここでは 「天の川」(秋)、「枯野」(冬)が季節の言葉の「季題」です。
「季語」という季節を表す言葉の中に、「季題」があります。
「季題」は、和歌の時代から続く歴史的背景を持った「四季の詞(ことば)」を指します。
又、題詠(指定された題の下で俳句を詠むこと)の題となりえる季節の詞とも言われています。
さまざまの事おもひ出す桜かな 松尾芭蕉
天地(あめつち)の間にほろと時雨かな 高濱虚子
それぞれの季題には特有のイメージ(本意)があります。
「桜」には「桜」から、「時雨」には「時雨」から連想されるイメージが、その季題の背後に連なっています。
この季題の持つイメージをうまく活用すると、広がりのある余韻の深い世界を表現することができるのです。
※名句と呼ばれるものには季重なりの句も多くあります
啄木鳥や落葉をいそぐ牧の木々 水原秋桜子
目には青葉山ほととぎす初松魚 山口素堂
一句の中に複数の季題が入っていることを季重なりと言います。
短い俳句の中に複数の季題が入ると、感動の芯が分かれてしまい伝わりにくくなりますので、初心のうちは避けた方 がよいでしょう。