2月の投句箱

野良猫の写真

「猫の恋」

早春、雄猫が恋の相手を求めて昼夜を問わず「なあごなあご」と鳴き、さ迷う。
食べることも忘れ時には傷を負い、憔悴して帰ってくる。
〈傍題〉 恋猫 うかれ猫、春の猫など

今月の選者

藤井 啓子(ふじい けいこ)
ピンクのカーディガンを着た女性の写真
「ホトトギス」同人・「円虹」
日本伝統俳句協会所属・日本伝統俳句協会関西支部広報部長 

特選1

恋猫の叫びに夜の黄ばみゆく多々良海月

選評

夜を深まるでなく黄ばむと捉えられたところが個性的だ。
恋猫の声に夜も疲れてきたのだろうか、それとも月を滲ませたのか、色々想像が深まる。

特選2

手を挙げて踊る埴輪とうかれ猫木村隆夫

選評

古墳での猫の恋だろうか。
手を挙げた埴輪はまるで踊っているようだ、うかれ猫も恋に踊り出している。ここは「恋の猫」より「うかれ猫」が良い。

特選3

尾を振れば月の匂ひや猫の恋百瀬はな

選評

恋のアンテナの様に尾をゆらゆら揺らす恋猫。そこに月光が降り注ぐ。
「月の匂ひ」という表現が何ともロマンチックな句。

佳作

猫の恋商店街の夜をゆく柚木みゆき
怒髪天衝く恋猫の唸り声木村隆夫
待ち合わせ場所は公園猫の恋平田球坊
恋の猫一気加勢に木に登り露崎一己句
猫の恋あけの明星昇るまでまこと
飛び出して二晩不明浮かれ猫春よ来い
猫の恋酒屋の木箱蹴倒して高木音弥
追ひかけて追ひかけられて猫の恋dragon
調律が狂い始める猫の恋立田渓
農小屋の板戸の割れ目恋の猫ぶえもん
甘きこゑ威嚇するこゑ猫の恋酒梨
太りゆく月の見てゐる猫の恋柚木みゆき
バラ色の欠伸をひとつ猫の恋光雲2
真夜中のムンクの叫び猫の恋ねこむらさらむこね
鉢合せしたる三匹恋の猫池本準一

気になる句

貼紙に探しをるとや恋猫か
疑問の助詞の「か」を句末に置くと不安定で坐りが悪い印象です。
「恋の猫」と体言止めにし、中七も少しリズムを整えました。

→ 貼紙に探されてをり恋の猫

選者吟

両の手をするりと抜けて春の猫啓子

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