10月の投句箱

空を飛ぶ渡り鳥の写真

「渡り鳥」

秋に、北国から飛来する冬鳥の群と、日本で繁殖して南国へ去ってゆく夏鳥の群を、総称して言う。
傍題……鳥渡る

今月の選者

安田 豆作(やすだ まめさく)
帽子を被った豆作氏の写真
日本伝統俳句協会常務理事・北海道支部長
ホトトギス・円虹・桑海

帯広市民ラジオFMウイングの俳句番組・豆作の「のったり俳句ひねもーす」MC
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特選1

渡り鳥大河は海へ日は西へ柑子

選評

太古の昔から、大河は海へ流れ、日は西へ傾き、鳥たちは渡りゆく。
時空を超える壮大なスケールの一句。

特選2

渡り鳥にはかに北の空さはぐ愛燦燦

選評

秋の深まりとともに、たくさんの渡り鳥が北から南へ移動する、北の空がもっとも賑やかになる季節。

特選3

鳥渡る三県境は山の中ゆきなごむ

選評

なるほど、二県境は海にもあるが、三県境は山の中にしかないという発見。
そんな山中の地点を渡り鳥が軽々と越える。

佳作

一斉に発つて朝風鳥渡るひろ志
鳥渡る朝のひかりを纏ひつつ木村隆夫
稲わらの煙れる中を渡り鳥愚老
たしかなる記憶に添うて渡り鳥水城ミズキ
書を閉づる玻璃戸のかなた渡り鳥鈴木智子
長旅の衣ととのえ渡り鳥森 佳月
さざ波の向き変はる沼鳥渡るゆきなごむ
渡り鳥いま月光に影映す茉莉花
鳥渡る飛行機雲の下を抜け鈴木古舟
まだ眠る町を見おろす渡り鳥古織沃
ぬかるみを行く我空に渡り鳥料 善
育ちたる川へひと鳴き渡り鳥浅乃み雪
高圧線山から山へ鳥渡る横山道男
鳥渡る旅に心を持ち去られさくらさく
山を背に群れなす古墳鳥渡る横山道男

気になる句

鳥渡る富士見ゆ湖を次々と
「見ゆ」という動詞が季題の邪魔をしています。

《添削例》 鳥渡る富士の湖水を次々と

選者吟

発つ気配ふくませて鳴く渡り鳥豆作

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