7月の投句箱

都会の町並みに降る夕立の写真

「夕立」

暑い日の夕方に入道雲が一気に空をおおい、短時間に激しい雨が降りあっという間に上がる、夏らしい現象。
傍題……ゆだち、白雨、夕立風、夕立晴、夕立雲、驟雨

今月の選者

安田 豆作(やすだ まめさく)
帽子を被った豆作氏の写真
日本伝統俳句協会常務理事・北海道支部長
ホトトギス・円虹・桑海

帯広市民ラジオFMウイングの俳句番組・豆作の「のったり俳句ひねもーす」MC
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特選1

夕立に打たるるほかになき小道西尾 翠峰

選評

雨をよけるものが何もない荒野の細道が想像され、寓意を含んで余韻がある。

特選2

窓ガラス叩く夕立や人を待つ横井あらか

選評

会う約束をした人が夕立に濡れるのを心配している。きっと大切な人なのだ。

特選3

ずぶ濡れの友と爆笑大夕立季與子

選評

気の会う同志の放課後だろうか、あっという間の出来事に笑い合っている。

佳作

ざわざわと驟雨の匂ひ広がりぬ中島 紺
夕立に洗ひ流してほしきことしんい
夕立去り再び夜明け来たやうなゆきなごむ
夕立風たちまち牧をひと舐めす呉帆
電話越し走り出す君夕立かそぉい
臍奥の胎動謐か夕立晴近江菫花
夕立を受け止めている岩木山勝本熊童子
夕立やコートに残るボール二個青田道
夕立や人を吸い込むアーケード横山道男
夕立や外階段の小さき滝横井あらか
五十階より夕立を落としをり落句言
夕立去るフロントガラスほの曇るイサク
夕立や火照る草木にちから水むーみんぱぱ
夕立や立ちこぎながら濡れながら水谷未佳
退院や夕立の音も我が家なり小路

気になる句

夕立の度過ぎて花も垂れるなり
「度」と言わなくても、夕立の強さは状況をそのまま描写して、

夕立の過ぎ花までも垂れてをり

で伝わると思います。

選者吟

夕立のあとを車のしぶきゆく豆作

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