2月の投句箱

枝の上のウグイス

「鶯」

庭に来る鶯の鳴声で目覚めるのは至福の時。
「春告鳥」という別名の通り、春の到来を実感する。

今月の選者

𠮷村玲子(よしむられいこ)
紺色のニットカーディガンを着た、ボブカットで笑顔の女性の写真
(公社)日本伝統俳句協会評議員、「花鳥諷詠」編集委員
日本伝統俳句協会関西支部企画部長、ホトトギス同人
円虹会員、三田(さんだ)俳句協会会長

庭に巣箱をおいて、毎年四十雀が巣立って行くのを楽しみにしています。
ときには雀も巣立っていきますが、巣の出来具合の違いも面白いです。

特選1

鶯の声山畑に漉き込みぬいつかちゃん

選評

山に囲まれ自然豊かな所にある畑なのだろう。畑を耕しながら四方からの鶯の声を聞いているのだ。
「漉き込む」にとても臨場感があり、重労働も楽しく進んでいるようだ。

特選2

鶯や鳴けばぷるりと尾羽振り霜川このみ

選評

鳴き声は聞こえても、その姿はなかなか見ることのできない鶯だ。しかし、作者はその姿を見つけて、ずっと追っていたのだろう。鳴く時に見た尾羽を振る動作を、オノマトペで可愛く表現できた。
私は、一曲鳴き終わった鶯が胸を張るのを見たことがある。

特選3

鶯や一人暮らしに慣れなきゃね沙那夏

選評

鶯の鳴く頃は、ちょうど卒業や引っ越しなど、人生の節目を迎える頃でもある。
作者は、親元を離れて大学に通うのだろうか?それとも最愛の伴侶を亡くされたのだろうか?「一人暮らし」になる不安な作者を励ますように鶯が鳴く。

佳作

鶯や鞍馬の若き風の中砂山恵子
鶯や寛解の日の力こぶ新濃 健
鶯の名乗り高々受けとめてひろ志
野へ色を付け鶯の渡りけり杉森大介
進水の海を見晴らす初音かな小路
雲一つ無き空燥ぐ初音かな 川辺世界遺産の居候
引越しの朝鶯へ一礼す春雪
鶯や鋏の止まる美容室多々良海月
鶯や未だ吾にたらぬ歌心工藤悠久
うぐひすの天神地神拝すこゑ伸瑚
匂鳥蕊を咥へて枝移り木村隆夫
鶯や里山作るボランティア白山一花
うぐいすの声に乗っけてナイスオン闇太郎
鶯や一気呵成の太き筆太刀男
鶯や三脚肩に測量士dragon

気になる句

鶯や朝の輪唱我も鳴く
鶯があちらこちらと鳴き初め、まるで輪唱をしているよう。作者も思わずその輪に入って鳴いてみたのだ。心地よい朝を描いた。
が、惜しいことに、「鶯や/朝の輪唱/我も鳴く」と三段切れになっている。
「鶯の朝の輪唱/我も鳴く」にすると良い。

選者吟

鶯の息の長さを聞き惚れて玲子

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