「新酒」
昔は新米の収穫後すぐに醸造したので、新酒は秋の季題になったとのこと。
現在は寒造りが主流のようです。
最近は一年中新酒を造る酒蔵もあるようですが、新酒と聞くとついつい注文してしまいますよね。
今月の選者
真篠みどり(ましの みどり)
日本伝統俳句協会評議員・関東支部埼玉部会長
卯浪俳句会 大宮教室所属
卯浪俳句会 大宮教室所属
自家製ぬか漬けで晩酌をするのが、帰宅後の楽しみです。
特選1
手話の娘の指美しく新酒酌む木村隆夫
選評
手話を使う人は指の動きも繊細で、盃を傾ける仕草も美しく見えるかもしれません。新酒の繊細さとも合う取り合わせです。
特選2
父伸ばす細き腕や新走り古本屋
選評
昔は逞しかった父親の腕が細くなってしまうのは淋しいものです。お酒の好きなお父さんに、少しでも喜んで貰おうと新酒を注ぐ作者の気持ちが伝わってきます。
特選3
猪口の波おさまりてより呑む新酒勝本熊童子
選評
あんなに小さなお猪口にも、ちゃんと波が立つのですよね。
波がおさまってから呑むというところに、しっかり味わおうという新酒へのリスペクトを感じます。
波がおさまってから呑むというところに、しっかり味わおうという新酒へのリスペクトを感じます。
佳作
手に馴染む切子のグラス今年酒立野音思
講釈は人それぞれに新走まこと
封切れば人の集まる新酒かな坂川花蓮
一反歩九俵獲れて新酒酌む杉尾芭蕉
ぐい呑みに新酒の香りなみなみとひろ志
含みたる日向のにほひ今年酒町田明哉
新酒酌み女同士は暴走す石原由女
新酒酌む呂律怪しき吉田類一路
鼻奥に越後の広ぐ新酒かな桜鯛みわ
民宿の膳に出されし新走り木村隆夫
新酒待つからだすみずみまで清め立部笑子
下賜さるる盃のごとくに新酒受く藤田康子
とくとくと歌ふ徳利新走り一路
一生をほどほど過ごし今年酒釜眞手打ち蕎麦
小半で子にとめられし新走り三知夫
講釈は人それぞれに新走まこと
封切れば人の集まる新酒かな坂川花蓮
一反歩九俵獲れて新酒酌む杉尾芭蕉
ぐい呑みに新酒の香りなみなみとひろ志
含みたる日向のにほひ今年酒町田明哉
新酒酌み女同士は暴走す石原由女
新酒酌む呂律怪しき吉田類一路
鼻奥に越後の広ぐ新酒かな桜鯛みわ
民宿の膳に出されし新走り木村隆夫
新酒待つからだすみずみまで清め立部笑子
下賜さるる盃のごとくに新酒受く藤田康子
とくとくと歌ふ徳利新走り一路
一生をほどほど過ごし今年酒釜眞手打ち蕎麦
小半で子にとめられし新走り三知夫
気になる句
白雲を絞った如く新酒かな
新酒が白雲を絞ったようだという比喩が素晴らしく、そんな新酒をぜひ飲みたくなりました。ただ、如きと連体形にした方がより新酒に焦点が絞られて良いと思いました。
選者吟
出羽鶴の新酒の〆の焼き握りみどり
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