「初鰹」
黒潮に乗って東上する鰹。
江戸っ子気分でその「はしり」を喰らい、初夏の旬の幸をすぱっと、切れ味の良い包丁のごとく詠んでみて下さい。
今月の選者
池田雅かず(いけだ まさかず)
卯浪俳句教室「卯浪OSAKA」講師
https://unami-osaka.jimdosite.com/
日本伝統俳句協会関西支部企画委員
公益財団法人虚子記念文学館常務理事
精神対話士
https://unami-osaka.jimdosite.com/
日本伝統俳句協会関西支部企画委員
公益財団法人虚子記念文学館常務理事
精神対話士
“ふれあって・こころ・ゆたかに“
たった十七音の言の葉を媒介にして、自然とふれあい、人とふれあい
「今・ここに・生きていること」
その実感と歓びを共感の心でシェアすること。
それが私にとっての俳句です。
特選1
初鰹縞くつきりと糶られけり木村隆夫
選評
鰹の頭から尾に向かって伸びる縞は横縞ではなく縦縞というのだそうだ。生きているときの鰹には見られないとある。
それでもこの縞に着目したことで、十分、初鰹の鮮度というか活きの良さが伝わって来た。
糶場でのシズル感溢れる一句。早く食べたい。
それでもこの縞に着目したことで、十分、初鰹の鮮度というか活きの良さが伝わって来た。
糶場でのシズル感溢れる一句。早く食べたい。
特選2
窓といふ窓に海あり初がつを押見げばげば
選評
どの窓にも真っ青な海が展く。もちろん内海ではなくて外海だろう。
窓いっぱいに広がる太平洋を眺めながら黒潮の旬を喰らう。粋を旨とする江戸時代の江戸っ子もきっと羨望の眼差だろう。
このスケール感。一景も賞味するなんていやはや何とも羨まし。
窓いっぱいに広がる太平洋を眺めながら黒潮の旬を喰らう。粋を旨とする江戸時代の江戸っ子もきっと羨望の眼差だろう。
このスケール感。一景も賞味するなんていやはや何とも羨まし。
特選3
豪快に宙蹴り上げて初鰹酒梨
選評
一本釣の景だろう。一本釣の鰹は傷みがないので身が焼けず味が良いと云う。
但しこれは相当な重労働だ。軟な漢では務まらない。逞しい腕が操る太い竿。釣り上げた瞬間、最頂点で鰹が跳ねるように空を蹴り上げた。その躍動感。
やはり初鰹には豪快という言葉がよく似合う。
但しこれは相当な重労働だ。軟な漢では務まらない。逞しい腕が操る太い竿。釣り上げた瞬間、最頂点で鰹が跳ねるように空を蹴り上げた。その躍動感。
やはり初鰹には豪快という言葉がよく似合う。
佳作
口中に黒潮の香や初鰹雄一郎
空へ跳ね一本釣りの初鰹dragon
退院の母に振る舞う初鰹川﨑涼介
大漁旗犇めき合って初鰹春駒
初鰹訛りは抜けず五十年葦たかし
初鰹心意気をば食すごと藤田康子
まな板に尾鰭はみ出す初鰹木村隆夫
初鰹江戸の切子へ土佐の酒あやめぐさ
初鰹今日の父さんよく喋る中島容子
若さとは撥ね返すこと初鰹くつの した子
初鰹海の青さを放ちけりみらんだぶぅ
定年という旅立ちや初鰹老人日記
海遠き山里なれど初鰹英世
黒潮の波幾千に初鰹石原由女
初鰹大海原から引つこ抜く木村隆夫
空へ跳ね一本釣りの初鰹dragon
退院の母に振る舞う初鰹川﨑涼介
大漁旗犇めき合って初鰹春駒
初鰹訛りは抜けず五十年葦たかし
初鰹心意気をば食すごと藤田康子
まな板に尾鰭はみ出す初鰹木村隆夫
初鰹江戸の切子へ土佐の酒あやめぐさ
初鰹今日の父さんよく喋る中島容子
若さとは撥ね返すこと初鰹くつの した子
初鰹海の青さを放ちけりみらんだぶぅ
定年という旅立ちや初鰹老人日記
海遠き山里なれど初鰹英世
黒潮の波幾千に初鰹石原由女
初鰹大海原から引つこ抜く木村隆夫
気になる句
はちきんの女将色黒初鰹
はちきんの昼から酌むや初鰹
はちきんと交はす乾杯初鰹
今回の季題でイメージの相関で多かったものを順にあげると「酒」、「藁」、「江戸」、「土佐」でした。その中で「はちきん」の句は掲句の3句です。はちきんの気風の良さと初鰹の取り合わせは、土佐という示唆もあってよく響き合いますね。
一の句はきっと活動的なお女将さんなのでしょう。でも色黒が強烈すぎてそればかりが飛び込んできました。
二の句。昼酒もよろしゅうございますが、ちょっとイメージが……。
三の句は乾杯は交すものですね。
ここはやはり八金の溌剌さと言いましょうか、活動的な明るいイメージで初鰹を詠んでみたいなと。
はちきんの女将が捌く初鰹
はちきんと差しつ差されつ初鰹
はちきんとまづは乾杯初鰹
選者吟
わだつみに分けて貰ひし初鰹雅かず
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