「鞦韆」
「ぶらんこ」「ふらここ」「半仙戯」「秋千」とも。
ぶらんこのある公園に行ってみよう。
見るも良し、乗るも良し。
思い出にちょっぴり浸るも良し。
今月の選者
池田雅かず(いけだ まさかず)
卯浪俳句教室「卯浪OSAKA」講師
https://unami-osaka.jimdosite.com/
日本伝統俳句協会関西支部企画委員
公益財団法人虚子記念文学館常務理事
精神対話士
https://unami-osaka.jimdosite.com/
日本伝統俳句協会関西支部企画委員
公益財団法人虚子記念文学館常務理事
精神対話士
“ふれあって・こころ・ゆたかに“
たった十七音の言の葉を媒介にして、自然とふれあい、人とふれあい
「今・ここに・生きていること」
その実感と歓びを共感の心でシェアすること。
それが私にとっての俳句です。
特選1
ぶらんこや児の声の無き古団地藤田康子
選評
高度成長期時代、LDKなる間取りの団地に住むことは、当時の憧れのライフスタイルであった。
かつてニューファミリーたちで賑わった団地の公園。今は塗装も剥げ落ち、鎖には錆が目立つぶらんこ。
しかして彼は何も語らず。ただ団地の光陰を見つめ続けている。
かつてニューファミリーたちで賑わった団地の公園。今は塗装も剥げ落ち、鎖には錆が目立つぶらんこ。
しかして彼は何も語らず。ただ団地の光陰を見つめ続けている。
特選2
ぶらんこを漕ぐ満月と息合はせ仙蔵
選評
ぶらんこの揺れに合わせて月は近づき遠ざかる。知らず知らずのうちに月と呼吸が合ってくる。
そんな感覚を浮遊する作者。さながら月とのダンシングナイトだ。
「Fly Me to the Moon」…絵本のような一景である。
そんな感覚を浮遊する作者。さながら月とのダンシングナイトだ。
「Fly Me to the Moon」…絵本のような一景である。
特選3
ふらここのゆきつもどりつゆめうつつ満月
選評
大人になっても人は何故ぶらんこに乗りたがるのだろう?
人生とは振り子のようなものだ。自分という重さが揺れる。夢と現の落差に揺れる。敢えて平仮名にしたテイストがいい。
そして「つ」の韻を踏む。その軽み、その調べにこちらも夢うつつ。
人生とは振り子のようなものだ。自分という重さが揺れる。夢と現の落差に揺れる。敢えて平仮名にしたテイストがいい。
そして「つ」の韻を踏む。その軽み、その調べにこちらも夢うつつ。
佳作
ぶらんこは高く少女の脚長く老人日記
赤茶けし手に鞦韆の匂いかな一慎
ふらここやハローワークは明日行く田畑 整
鞦韆を漕ぐ青空に触るるまで鈴木智子
天上の母へ鞦韆高う漕ぐ近江菫花
叱られて空に逃げたし半仙戯佐々木宏
ふららこや頭を越ゆるスニーカー草夕感じ
ぶらんこや伴侶を得たる子の門出蒼鳩 薫
ふらここやあと一漕ぎで得る翼ぶえもん
ぶらんこや前にころがるランドセル松尾なおゆき
ふらここの静かに垂るる月曜日みのる
はじめての鞦韆に身を固くせる工藤悠久
鞦韆や行くか戻るか揺れる意思かとしん
鞦韆に重たき心揺らせしむ参山
鞦韆や揺れて日向へまた影へ東の山
赤茶けし手に鞦韆の匂いかな一慎
ふらここやハローワークは明日行く田畑 整
鞦韆を漕ぐ青空に触るるまで鈴木智子
天上の母へ鞦韆高う漕ぐ近江菫花
叱られて空に逃げたし半仙戯佐々木宏
ふららこや頭を越ゆるスニーカー草夕感じ
ぶらんこや伴侶を得たる子の門出蒼鳩 薫
ふらここやあと一漕ぎで得る翼ぶえもん
ぶらんこや前にころがるランドセル松尾なおゆき
ふらここの静かに垂るる月曜日みのる
はじめての鞦韆に身を固くせる工藤悠久
鞦韆や行くか戻るか揺れる意思かとしん
鞦韆に重たき心揺らせしむ参山
鞦韆や揺れて日向へまた影へ東の山
気になる句
鞦韆を止めて始むる恋話
少女たちのコイバナ。こういう舞台には確かにぶらんこがよく似合います。微笑ましい一景に読者もほんわかした気分になる句です。
ただ「始むる」の所を、もう一歩突っ込んだ表現にしてみたいなと。少女たちの表情が見えるように。
例)鞦韆を止めてひそひそ恋話
ただ「始むる」の所を、もう一歩突っ込んだ表現にしてみたいなと。少女たちの表情が見えるように。
例)鞦韆を止めてひそひそ恋話
選者吟
鞦韆や太平洋へひとつ跳び雅かず
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