1月の投句箱

笹葉の上に落ちた雪の結晶

「風花」

或る晴れた日、どこからともなく舞ってくる雪片。それが風花です。
あなたならこの季題をどう料理(俳句に)するかな? 楽しみ。

今月の選者

池田雅かず(いけだ まさかず)
アロハシャツを着た男性の写真
卯浪俳句教室「卯浪OSAKA」講師
https://unami-osaka.jimdosite.com/
日本伝統俳句協会関西支部企画委員
公益財団法人虚子記念文学館常務理事
精神対話士

“ふれあって・こころ・ゆたかに“
たった十七音の言の葉を媒介にして、自然とふれあい、人とふれあい
「今・ここに・生きていること」
その実感と歓びを共感の心でシェアすること。
それが私にとっての俳句です。

特選1

風花や恋擲つて進め前酒井春棋

選評

風花は美しく消えてゆくもの。さながら私の恋のよう…なんてそんな感傷にとどまらず、「進め前」とポジティブに捉えたところが光る。
風花は消えてもそこには青空が広がっているのだ。切ないけれど前を向くのみ。

特選2

風花を手刀で切る童たち齋藤方南

選評

風花と言えば掌が定番だがここは手刀と来た。
子どもたちの風花と遊ぶ姿が躍動感をもってまなうらに浮かぶ。切ないだけが風花ではないのだ。子どもたちには風花さえも恰好の遊び相手である。
客観写生ならではのオンリーワンな一景。

特選3

風花や言葉少なき子の便り堀 雅一

選評

我が子からの突然便りが来た。まるで風花のよう。
それにしてもそっけない文章だこと。あの子らしいかな。
でも元気そうで良かった。
取り合わせの句だが季題とつかず離れず。季題との相乗効果で鑑賞の深まる句となった。

佳作

風花や人絶え間なく動きをり嘉門生造
天をさす子へ風花と教へけり桜鯛みわ
風花の音なく消ゆる着地点隠岐灌木
風花や袖口で拭く硝子窓餡子
風花や街の速度に漂へり砂楽梨
風花のゆくへ風花だけが知る立部笑子
風花やこの世に残すものは何石原由女
風花や運動場に弾む影松尾なおゆき
風花や肉親だけの樹木葬木村隆夫
太陽を載せし風花風を追ふ沢井如伽
風花や歴史を閉じる小学校杉尾芭蕉
風花や生まれ故郷はダムの底正念亭若知古
風花や路上ライブのアルペジオくつの した子
風花のあはき光をはなちけり愚老
風花のいづくよりまたいつの間にえだまめ

気になる句

風花に君との会話止まってる
アニメのワンシーンのような一句です。そういう意味では口語体の詠み口も今風で悪くないとは思います。
たださらっと流れて終りそうな感があります。そこで少しグリップを効かせてみました。切れ字を置き、敢えて人称は明示せずそこは読者に任せてみました。 
「風花にふと途切れたる会話かな」

選者吟

風花や港都に修す阪神忌雅かず

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