「天道虫」
背中の水玉模様が愛らしい、色鮮やかな昆虫。
「お天道様に向かって飛んでゆく」というのが、その名の由来とか。
「お天道様に向かって飛んでゆく」というのが、その名の由来とか。
今回の選者
長谷川槙子(はせがわ まきこ)
1962年生まれ
都内女子校の国語科講師。鎌倉に住み、吟行をこよなく愛する。
卯浪俳句教室講師。
都内女子校の国語科講師。鎌倉に住み、吟行をこよなく愛する。
卯浪俳句教室講師。
特選1
天道虫ほしを落とさず羽ばたけり宇佐美好子
選評
天道虫が背中に星をのせているとは詠えても、星を落とさずに飛び立ったとは中々詠めない。小さきものへの慈しみの目差しが温かい。
特選2
天道虫飛んで白紙に戻りけり大月順子
選評
閉じた羽に星をのせていた天道虫が、何もなかったかのように発った。どこか別の世界に行ってしまった天道虫。取り残されたと感ずる作者の思いが印象的。
特選3
天道虫いちばん大きな雲へ飛ぶ八田昌代
選評
天道虫は、たくさん浮かぶ雲の中で一番大きな雲を目指して飛び立ったのだ。そう想える作者の詩心に羨望を覚えた。
佳作
葉の先の天道虫は思案中カミムラフサコ
草を這ふ天道虫のかろさかな工藤遊子
たたみきれぬ翅を震わすてんと虫沙那夏
大空へちよつとお遣ひ天道虫春よ来い
天道虫羽のきれいに割れにけり藤田康子
天道虫吾子もいつかは飛びいづる深町明
天道虫人間臭き掌を這へるすいか
中指の次はどこゆく天道虫飯田夷佐久
通園は短い旅やてんと虫立部笑子
薄羽を仕舞ひ忘れし天道虫dragon
天道虫が大仏殿の中へ入る茫々
空はいま天道虫を抱きけりみなと
天道虫七つの悲喜を背負ひけり佐々木宏
天道虫天動説を背負ひたる釜眞手打ち蕎麦
てんとう虫地球が丸く見ゆる丘葦たかし
草を這ふ天道虫のかろさかな工藤遊子
たたみきれぬ翅を震わすてんと虫沙那夏
大空へちよつとお遣ひ天道虫春よ来い
天道虫羽のきれいに割れにけり藤田康子
天道虫吾子もいつかは飛びいづる深町明
天道虫人間臭き掌を這へるすいか
中指の次はどこゆく天道虫飯田夷佐久
通園は短い旅やてんと虫立部笑子
薄羽を仕舞ひ忘れし天道虫dragon
天道虫が大仏殿の中へ入る茫々
空はいま天道虫を抱きけりみなと
天道虫七つの悲喜を背負ひけり佐々木宏
天道虫天動説を背負ひたる釜眞手打ち蕎麦
てんとう虫地球が丸く見ゆる丘葦たかし
気になる句
漱石の本をころころ天道虫
漱石の本の頁を、何も知らずに這う天道虫の動きが愛らしい。書名を具体的に詠み込むと面白いかも。
選者吟
天道虫飛んでゐるとき愛されず槙子
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