「蝌蚪」
一般には、おたまじゃくしの名で親しまれている。俳句を嗜む人は「かと」と呼ぶ。
「蝌蚪の紐」は、紐状に連なった蛙の卵のこと。
今回の選者
長谷川槙子(はせがわ まきこ)
1962年生まれ
都内女子校の国語科講師。鎌倉に住み、吟行をこよなく愛する。
卯浪俳句教室講師。
都内女子校の国語科講師。鎌倉に住み、吟行をこよなく愛する。
卯浪俳句教室講師。
特選1
一石にこつぱみじんや蝌蚪の国工藤遊子
選評
投じた石で散り散りになる蝌蚪の群。一石に国が壊れたいう詠み方の妙。
切字の「や」を上手く使えているので、仮名遣いも是非「みぢん」にしていただきたく。
切字の「や」を上手く使えているので、仮名遣いも是非「みぢん」にしていただきたく。
特選2
全山に読経の響き蝌蚪生まる菫久
選評
読経の響き渡る一山に生を受けた、蝌蚪の幸せが想われます。
スケールの大きな、穏やかで仄々とした御句。
スケールの大きな、穏やかで仄々とした御句。
特選3
勾玉のかたちに蝌蚪の生まれけり比良田トルコ石
選評
得体の知れなさを覚える人も多い蝌蚪を、勾玉にたとえた心地よさ。
こういう発想をして詠める作者の、蝌蚪への愛情を感じました。
こういう発想をして詠める作者の、蝌蚪への愛情を感じました。
佳作
蝌蚪生まれ田圃の水の動きだす水希
畦切れて次々蝌蚪の流れ出る茫々
本心を言い出せぬまま蝌蚪覗く麻貴子
子らの影を逃げ出してゐる蝌蚪の群れ夕空かのこ
蛙の子己が手足に戸惑へり立部笑子
蝌蚪の水継ぎ足す朝の日課かな山海和紀
蝌蚪のいる水田狭し村の果て月奈利
日の斑から日の斑へ蝌蚪の移りけり多々良海月
蝌蚪の群れみな真ん中を好みけりみゆむうしば
蝌蚪泳ぐバケツは孫の置き土産晋子
蝌蚪生まれてんやわんやに泳ぎをる笑子
蝌蚪の國小さき巨人に覗かるる釜眞手打ち蕎麦
せせらぎをおたまじゃくしが奏でけりちろり
かと群れて山の札所の昼餉どき石塚彩楓
蝌蚪育つ四角四面の水の中近江菫花
畦切れて次々蝌蚪の流れ出る茫々
本心を言い出せぬまま蝌蚪覗く麻貴子
子らの影を逃げ出してゐる蝌蚪の群れ夕空かのこ
蛙の子己が手足に戸惑へり立部笑子
蝌蚪の水継ぎ足す朝の日課かな山海和紀
蝌蚪のいる水田狭し村の果て月奈利
日の斑から日の斑へ蝌蚪の移りけり多々良海月
蝌蚪の群れみな真ん中を好みけりみゆむうしば
蝌蚪泳ぐバケツは孫の置き土産晋子
蝌蚪生まれてんやわんやに泳ぎをる笑子
蝌蚪の國小さき巨人に覗かるる釜眞手打ち蕎麦
せせらぎをおたまじゃくしが奏でけりちろり
かと群れて山の札所の昼餉どき石塚彩楓
蝌蚪育つ四角四面の水の中近江菫花
気になる句
国盗りの今昔話蝌蚪静か
昔話と蝌蚪を取り合わせた面白さに惹かれます。
国盗りの騒々しさと平穏な蝌蚪の国の対照を際立てるためにも、中七を「昔話や」としてみては。
国盗りの騒々しさと平穏な蝌蚪の国の対照を際立てるためにも、中七を「昔話や」としてみては。
選者吟
太陽の居座つてゐる蝌蚪の水槙子
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