「初富士」
富士見坂、富士見台……。
一年中望める富士山も、元日に仰ぐ雄姿は格別。
昔は、江戸から眺める富岳を称したらしい。
今回の選者
長谷川槙子(はせがわ まきこ)
1962年生まれ
都内女子校の国語科講師。鎌倉に住み、吟行をこよなく愛する。
卯浪俳句教室講師。
都内女子校の国語科講師。鎌倉に住み、吟行をこよなく愛する。
卯浪俳句教室講師。
特選1
八方へ初富士背なを正しけり呉帆
選評
初富士の整った立ち姿は、いま自分が眺めている方向のみにあるのではないという発見。如何なる方角から見ても端正な富岳の尊さは、元日にこそ極まる。
特選2
初富士や水占ひに吉うかびげばげば
選評
富士山と水占いの取り合わせが新鮮。初富士の雄姿と占いの「吉」が、清らかな水を介して響き合う。
特選3
初富士や捨てるべきもの定まれり多々良海月
選評
捨ててもよいものがはっきりすれば、残すべきものは何かが分かる。憧憬に価するその心境は、初富士の清々しさに適う。
佳作
初富士を翼の先に拝しけりごぼうの花
空よりも青き初富士聳えをり水希
初富士や吉田茂の見た角度沙那夏
初富士に迷ふ背中を押されけり佐々木 宏
初富士を探して歩く小道かな一春
初富士や船客のみな甲板へ大谷如水
初富士のために大地の晴れ渡る飯田夷佐久
初富士や三十階の窓の中近江菫花
どの窓も初富士のある列車かな暖井むゆき
初富士やクルーズ船の背に聳ゆ艀舟
初富士を背に撮る家族写真かなポンタロウ
初富士やあかねに染まる前のあお釜眞手打ち蕎麦
初富士を独り占めする車窓かな楠丘
初富士やここは未来の見える丘田んぼ
初富士や西へ西へと行く列車momo
空よりも青き初富士聳えをり水希
初富士や吉田茂の見た角度沙那夏
初富士に迷ふ背中を押されけり佐々木 宏
初富士を探して歩く小道かな一春
初富士や船客のみな甲板へ大谷如水
初富士のために大地の晴れ渡る飯田夷佐久
初富士や三十階の窓の中近江菫花
どの窓も初富士のある列車かな暖井むゆき
初富士やクルーズ船の背に聳ゆ艀舟
初富士を背に撮る家族写真かなポンタロウ
初富士やあかねに染まる前のあお釜眞手打ち蕎麦
初富士を独り占めする車窓かな楠丘
初富士やここは未来の見える丘田んぼ
初富士や西へ西へと行く列車momo
気になる句
初富士や美しき息吹を折鶴へ
息を吹き込まれたばかりの折鶴と、バックに見える元旦の富士の美しさとが非常に印象的。よって、表現はむしろ控え目に「(初富士や)折鶴に息吹き込んで」等としてみては。
選者吟
初富士の何か背負うてゐるやうな槙子
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