「汗」
汗はあまりかかない方だが
汗まみれになってみたいとは思う
今回の選者
山本素竹(やまもと そちく)
1951年生まれ
書と篆刻の個展を続ける
朝日俳壇賞、日本伝統俳句協会賞など
書と篆刻の個展を続ける
朝日俳壇賞、日本伝統俳句協会賞など
特選1
盤上の動かぬ駒や汗にぎるしんい
選評
私も昔将棋をやったことがある。藤井二冠を応援している。勝敗を左右する長考の場面だろう。観戦者のにぎる汗が面白い。
特選2
掃除機のゆく先々に垂れる汗キートスばんじょうし
選評
暑い中の、汗を垂らしながらの掃除となってしまった。大変だったろうが一句は授かった。汗の光る床が見えるようだ。
特選3
汗避けて出来ぬ仕事の残りけり今井 苳子
選評
汗を掻くのは誰しも嫌だ。できれば汗を掻くことのない仕事が優先となる。残念ながら残った仕事は汗をかかねばならないのだ。汗が描けている。
佳作
乳と汗混じりて匂う赤ん坊酔猿
ゆつくりとするほど汗のスクワット三崎扁舟
グラウンドに汗と汗とがぶつかりぬ英世
汗の身となりて見つけし風の道今井 苳子
汗ばみし身体を風に委ねたりえだまめ
行列の先はまだまだ玉の汗中島容子
幼子の汗も泪も美しき青野すすき
児の頭走るバリカンたぎる汗さかぐちくみこ
汗かかぬ人に気後れしてをりぬ町須
汗ふいて一から髪を直しけり呉帆
汗冷やすエアコンの風今は好きえみい
自転車を降りればぶうっと汗が噴き東の山
みどりごのからだは汗でできてゐる酒梨
雑草に汗だくだくと一時間桔梗
まづ汗を拭いて始まる朝稽古たろりずむ
ゆつくりとするほど汗のスクワット三崎扁舟
グラウンドに汗と汗とがぶつかりぬ英世
汗の身となりて見つけし風の道今井 苳子
汗ばみし身体を風に委ねたりえだまめ
行列の先はまだまだ玉の汗中島容子
幼子の汗も泪も美しき青野すすき
児の頭走るバリカンたぎる汗さかぐちくみこ
汗かかぬ人に気後れしてをりぬ町須
汗ふいて一から髪を直しけり呉帆
汗冷やすエアコンの風今は好きえみい
自転車を降りればぶうっと汗が噴き東の山
みどりごのからだは汗でできてゐる酒梨
雑草に汗だくだくと一時間桔梗
まづ汗を拭いて始まる朝稽古たろりずむ
気になる句
みどりごのからだは汗でできてゐる
その誇張が許容できるかどうかで評価は分かれるのだろう。私は気に入った。その驚きがよく伝わってくる。
選者吟
自粛解け汗の運動ひさしぶり素竹
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