「狸」
「紙芝居狸はいつも不幸せ 肖子」
気に入っている句なのだが季感はうすい。
今回の選者
今井肖子(いまい しょうこ)
2000年より母千鶴子の手ほどきで作句を始める
2004年日本伝統俳句協会賞受賞
句集『花もまた』
卯浪俳句教室講師、ホトトギス同人
好きなもの:スウォッチ、数学、日本酒
2004年日本伝統俳句協会賞受賞
句集『花もまた』
卯浪俳句教室講師、ホトトギス同人
好きなもの:スウォッチ、数学、日本酒
特選1
正体の明かされぬまま狸汁田んぼ
選評
個人的には、食べてみたいようなみたくないような狸汁。いろいろあった狸汁の句の中で、文字通り下五まで正体が明かされない作りでなるほどと。
特選2
臆病を秘して狸の目の光るキートスばんじょうし
選評
正面から見た狸の表情をうまく表していますね。ふり返ってこちらを見る姿が記憶の底からよみがえりました。
特選3
罠かける狸の動き真似ながらこしあん
選評
たとえば猪罠だと突っ走ってくる猪がどこを通るかを見極めるようなイメージですが、確かに狸だとこんな感じなのではと思わせられます。
佳作
多摩川の狸太ってをりにけり田んぼ
首傾げ小股の狸過りけり杉尾芭蕉
前世は狸と知る夜ひとり酒ぶえもん
獣道振り返りつつ狸かなせつこ
狸の目らんらん火星大接近短夜の月
ふかふかの尾を抱へこむ狸かなぽんぽこ
夜も更けて狸の庭となりにけり三吉
狸来てしらしら陰る昼の月石原由女
人よりも狸の多し被爆村釜眞手打ち蕎麦
爪先に腐葉土硬き狸道トマト使いめりるりら
狸罠煙草を耳に手際よく木星
子狸を眺む共同炊事場に中島容子
埋めるの見られた狸かも知れない世良日守(せらひまもり)
雨止んで狸ひょっこり県境藤田ゆきまち
捨畑や甘噛みし合ふ狸の子ぶえもん
首傾げ小股の狸過りけり杉尾芭蕉
前世は狸と知る夜ひとり酒ぶえもん
獣道振り返りつつ狸かなせつこ
狸の目らんらん火星大接近短夜の月
ふかふかの尾を抱へこむ狸かなぽんぽこ
夜も更けて狸の庭となりにけり三吉
狸来てしらしら陰る昼の月石原由女
人よりも狸の多し被爆村釜眞手打ち蕎麦
爪先に腐葉土硬き狸道トマト使いめりるりら
狸罠煙草を耳に手際よく木星
子狸を眺む共同炊事場に中島容子
埋めるの見られた狸かも知れない世良日守(せらひまもり)
雨止んで狸ひょっこり県境藤田ゆきまち
捨畑や甘噛みし合ふ狸の子ぶえもん
気になる句
狸の目轢かれし母から離れてく
高速道路でかわいそうな姿になっているのを見た記憶があります。轢かれた狸ではなく仔狸に目をつけているのは良いと思いますのでちょっと調べを整えて
仔狸の轢かれし母を離れ行く
くらいの感じでどうでしょう。
仔狸の轢かれし母を離れ行く
くらいの感じでどうでしょう。
選者吟
すつとした横顔見せて狸去ぬ肖子
一年間ありがとうございました。なかなか取り切れなくてごめんなさい。不穏な昨今ですが、俳句と共にある暮らしを楽しんで過ごしたいですね。
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