「新米」
その年に収穫した米。今年米。
今回の選者
今井肖子(いまい しょうこ)
2000年より母千鶴子の手ほどきで作句を始める
2004年日本伝統俳句協会賞受賞
句集『花もまた』
卯浪俳句教室講師、ホトトギス同人
好きなもの:スウォッチ、数学、日本酒
2004年日本伝統俳句協会賞受賞
句集『花もまた』
卯浪俳句教室講師、ホトトギス同人
好きなもの:スウォッチ、数学、日本酒
特選1
下宿生集め新米祭りかなまつぼっくり
選評
大家さんがいる賄い付きの下宿など、今ではほとんどないでしょう。でもこの「新米祭り」から見えてくる幸せな光景は、こんな時代だからこそ貴重なものに感じられます。仕立て方も上手い。
特選2
釜の蓋開ける緊張今年米松井くろ
選評
食べ物の句は美味しそうに作れと言われますから、今回美味しそうな句がたくさん並びました。その中で、釜の蓋を開ける一瞬を切り取って、緊張、とはなるほど、と納得。
特選3
新米やひらがな多き母の文百合乃
選評
田舎から新米が送られてきた句、新米を遠くに住む家族へ送る句、も多くあり、それぞれ心情が感じられましたが、中七下五の具体的な叙し方に個性が感じられます。
佳作
炊く人を選ばぬ味よ今年米杉尾芭蕉
新米に一汁一菜よき日かなまこと
隣家にも立つ新米の夕煙堀雅一
新米を軽めに盛つて飯茶碗桃
夕富士や新米の炊きあがりし香光子
今年米だんだん軽くなる余生正男
新米と金のシールの貼られをり玉井令子
今年米着きて米櫃洗ひけり心一
新米を握る父の手ほの赤し和歩
新米の茶碗小さく見えにけり照波
新米の貼り紙に沸く社食かなキートスばんじょうし
ヒマラヤの塩を二つぶ今年米柿の実
新米や今年の日記読み返す嘉門生造
一振りの塩すら要らぬ今年米珈琲斎
新米の香る六畳一間かな城内幸江
新米に一汁一菜よき日かなまこと
隣家にも立つ新米の夕煙堀雅一
新米を軽めに盛つて飯茶碗桃
夕富士や新米の炊きあがりし香光子
今年米だんだん軽くなる余生正男
新米と金のシールの貼られをり玉井令子
今年米着きて米櫃洗ひけり心一
新米を握る父の手ほの赤し和歩
新米の茶碗小さく見えにけり照波
新米の貼り紙に沸く社食かなキートスばんじょうし
ヒマラヤの塩を二つぶ今年米柿の実
新米や今年の日記読み返す嘉門生造
一振りの塩すら要らぬ今年米珈琲斎
新米の香る六畳一間かな城内幸江
気になる句
空蒼く新米炊き出す湯気五本
新米を炊いている湯気が青空に向かって五本、おもしろい句です。
中七の「炊き出す」は動詞なので「炊き始める」という意味になり、すっきり中七でおさめて「新米を炊く」で十分分かるのではと思いますがいかがでしょう。
中七の「炊き出す」は動詞なので「炊き始める」という意味になり、すっきり中七でおさめて「新米を炊く」で十分分かるのではと思いますがいかがでしょう。
選者吟
新米のすこし冷めたる塩むすび肖子
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