「大試験」
春先の入学試験、卒業試験、受験生など。
今回の選者
今井肖子(いまい しょうこ)
2000年より母千鶴子の手ほどきで作句を始める
2004年日本伝統俳句協会賞受賞
句集『花もまた』
卯浪俳句教室講師、ホトトギス同人
好きなもの:スウォッチ、数学、日本酒
2004年日本伝統俳句協会賞受賞
句集『花もまた』
卯浪俳句教室講師、ホトトギス同人
好きなもの:スウォッチ、数学、日本酒
特選1
大試験人は人なり我は我雲母
選評
受験の思い出は少なからず皆さんお持ちのようで、いくつになっても夢に見るという句など多く見られました。まわりが皆自分より賢く見えるとよく言いますしこの句の発想も珍しいものではありませんが、言葉の選択が簡潔的確で仕上がりの佳い句となっています。
特選2
大試験声の小さな試験官魔嶺
選評
大教室でマイクを使ってるのにぼそぼそ聞き取りにくくてさらに不安になった、という話を受験生から聞いたことがあります。ちょっとした事実を述べるだけでも、受験生の心情が伝わりますね。
特選3
無機質な天井高し大試験ちさを
選評
教室の天井が高い、という句は他にもありましたが、上五の「無機質な」が頭一つ抜き出ているかなと。学校の教室の天井はたいてい無機質ですが、あらためてそれを実感しているところに受験生の心持が感じられます。
佳作
消しゴムの摩擦係数大試験トマト使いめりるりら
東京の空は鈍色大試験石龍
大試験果つれば空の青さかなふじこ
解答のひらめく帰路や大試験中島容子
大試験冷えた机と黒板と檀凛凪
一斉に走り出したる大試験珈琲斎
胸張って歩く東京大試験藤輪に桔梗
大試験坂道登りキャンパスへ谷本義明
受験子の雨傘頼り無さげなりみなと
芽のやうな寝ぐせ立てる子大試験ぶえもん
右足から会場に入る大試験佳月
大股で潜る校門大試験みずき
つんつんの鉛筆五本大試験石原由女
御守りのかたちおのおの受験生ひろきち
教室の黙に沈みて大試験モペット
東京の空は鈍色大試験石龍
大試験果つれば空の青さかなふじこ
解答のひらめく帰路や大試験中島容子
大試験冷えた机と黒板と檀凛凪
一斉に走り出したる大試験珈琲斎
胸張って歩く東京大試験藤輪に桔梗
大試験坂道登りキャンパスへ谷本義明
受験子の雨傘頼り無さげなりみなと
芽のやうな寝ぐせ立てる子大試験ぶえもん
右足から会場に入る大試験佳月
大股で潜る校門大試験みずき
つんつんの鉛筆五本大試験石原由女
御守りのかたちおのおの受験生ひろきち
教室の黙に沈みて大試験モペット
気になる1句
命まで取らぬと嘯く大試験
そうだよね、と共感を呼ぶ一句です。ただこの作りからいくと、大試験が嘯いている、ということだと思いますが中八でもありますし、命まで取られはせぬと大試験、くらいでいかがでしょう。この句の場合は、梅一輪、くらいでいかがでしょう。
選者吟
考へる眉美しく受験生肖子
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