2月の投句箱

梅

「梅一切」

早春にさきがけて咲く梅。
白梅、紅梅、野梅、梅園、梅日和。

今回の選者

今井肖子（いまい　しょうこ）
今井肖子のアイコン
2000年より母千鶴子の手ほどきで作句を始める
2004年日本伝統俳句協会賞受賞
句集『花もまた』
卯浪俳句教室講師、ホトトギス同人
好きなもの：スウォッチ、数学、日本酒

特選1

白梅の古木に花の一枝かな杉尾芭蕉

選評

同じような発想の句は多く見られましたが、花の一枝、という表現でごつごつした枝と光る白梅が見えますね。

特選2

梅日和モデルルームを見て帰る徐々亭

選評

上五、何でもいいようなのですが、明るく晴れていながら少しひんやりとしてどこからともなく梅が香ってくる「梅日和」が中七下五と微妙に響き合って、季語が効いていると思いました。

特選3

紅梅やおさげ髪した頃もあり百合乃

選評

さきがけてほころぶ紅梅に目をとめた作者、その小さく可愛らしい一輪に、ふと学生時代を思い出されたのでしょうか。
そんな、ふと感、が、おさげ髪でさらりと表現され、紅梅を引き立てています。

佳作

梅の香をつつみし雨の滴かな嘉門生造
梅園も灯ともし頃となりにけり中島容子
新刊書予約完了梅二月ZIN
白梅のほころぶ径六千歩麦秋
白梅が今を盛りの空家かな甲賀忍者
風そよと香りたちそむ梅日和愛燦燦
ひんやりと白梅咲きし日和かな隠岐灌木
梅日和菓子屋の暖簾出す女将丸に桔梗
枝折れて小さく芽吹く梅二月石原由女
日溜りに祖母の面影濃紅梅英世
遠くよりトランペットや梅の園梅花人
古木なる一枝に燃える濃紅梅ごぼうの花
導祖神らしき石あり梅真白山太狼
交番の若き婦警や梅の花伊藤順女
梅咲きぬ家々にある暮らし向きちさを

気になる1句

サクラサク知らせ届くか梅一切
今月の題「梅一切」は、一切（いっさい）ということで、梅関係のものはいっさいなんでもＯＫ、ということでした。分かりにくかったかもしれません、ごめんなさい。
この句の場合は、梅一輪、くらいでいかがでしょう。

選者吟

一輪のうす紅梅のかたちかな肖子

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