虚子の声・春の句

 

高濱虚子

朗読: 高濱虚子
音楽: 池内友次郎
昭和22年6月16日
キングレコードスタジオにて録音

 
 


 
 
春雨や茶屋の傘休みなく

春水に落つるが如くほとりせり

美しき眉をひそめて朝寝かな

春蘭を堀り提げもちぬ高嶺の日

紅梅に薄紅梅の色重ね

見るところ花は無けれどよき住居

法外の朝寝もするやよくも降る

君とわれ惜春の情なしとせず

雪よりも真白き春の猫二匹

かゝはりも無くて互に梅椿

山荘に客たり四方の花にあり

手を挙げて走る女や山桜

蓼科に春の雲今動きをり

紅梅や旅人我になつかしく