12月の投句箱

短日

「短日」

冬の日の短さ。
「日短」「暮早し」とも。

今回の選者

小川龍雄(おがわ たつお)
小川龍雄のアイコン
1952年生まれ
1978年から句作
日本伝統俳句協会理事

特選1

短日やとなりの雨戸閉める音

選評

もう閉めるのか、と思ったら日は暮れていた。

特選2

短日や昏き小川に鍬洗ふ大谷如水

選評

いつもの農作業。いつもと同じように作業して、いつものように鍬を小川で洗うが日はとっぷり暮れている。

特選3

孫去りて短日の夜ひとりきり八十二

選評

一人暮らしの老人。孫たちが帰ってきて久しぶりに賑やかな時間が過ごせたが、孫を見送ったと思ったらもう日が暮れている。寂しさが滲んでいる。

佳作

駅裏に残る昭和や暮早し寺津豪佐
さびれたる商店街や暮早し垣内孝雄
短日や道を迷いて終わる旅トマト使いめりるりら
短日を使ひ切つたる庭仕事みずき
短日やバスに遅延のアナウンスめりやん
短日や摩天楼より明かり洩れ正木羽後子
公園の駄々っ子のゐる暮早し藤田ゆきまち
短日やリハビリ棟の人の影みい
いつの間に図書館点り日短はぐれ雲
道問へば地の人でなし日短暁孝
短日や語らい尽きぬ今日の友照波
ママを待つ児童クラブの暮早しびーぐる
短日や近道避けて大通り綉綉
久びさに会えばおしゃべり日短高須翔光
短日や三本立ての寅次郎田んぼ

気になる1句

日帰りで母見に行きし日短
お母さんの様子を見に行ったのだろう。お見舞いかも知れないし、看病かも知れない。
この句の場合「母見に行きし」ではなく、「母看に行きし」ではないだろうか。
一字の違いであるが句意は違ってくる。

選者吟

四時半に入る居酒屋日短龍雄

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