3月の投句箱

春めく

「春めく」

春を実感すること

今回の選者

小川龍雄(おがわ たつお)
小川龍雄のアイコン
1952年生まれ
1978年から句作
日本伝統俳句協会理事

特選1

春めくやはちみつ色の朝ぼらけふじこ

選評

夜明けの頃の空を眺めている作者。春めいてきたことを感じながら眺めている空の色を蜂蜜色と感じた。はちみつ色は一つの発見と思う。

特選2

春めくや渡船七分間の旅隠岐灌木

選評

海か川かは分からないが、近距離を行き来する渡船に乗った。たった七分間ではあるが、春めく風を浴びつつ気持ち良い旅の気分を堪能している。

特選3

手分けして探す徘徊春めける菊池洋勝

選評

春めいて来ると、徘徊する人も増えるのではないだろうか。私の父も徘徊して迷子になり大騒ぎをしたことがある。明るく浮き浮きした春めく句ではないが、季題はしっかり活きている。

佳作

春めくや紫けぶる枝の先砂山恵子
隠岐に寄す波も春めく黒木御所GONZA
春めく灯眺め残務の続く日々せいいち
春めくや列車海光友として杉森大介
春めくや初めて届く投票券風来子
やはらかな嬰のあくびや春めけるみそまめ
野は小さき花を散りばめ春めけりのりこ
春めくや瀬戸におもちゃのやうな船香舟
春めきて家中探す登山靴城内幸江
春めくや小さい庭の土作り丸に桔梗
春めくや動物園は寝てばかり田んぼ
春めくや妻はいそいそ出かけたる細川てつや
出航のテープ七色春めく日朱河
春めきて野積みの肥料匂ひ立つこいちゃん
春めきて土手どこまでも滑り台みどり

今月の気になる1句

雪溶けに命春めく蕗の薹
蕗の薹に焦点を当てようとしたのだとは思うが、如何せん季題が三つある。「雪解け」の頃は当然春めいて来ているし、「春めく」頃には雪も溶ける。その頃になると「蕗の薹」も出てくるわけで上五中七は不必要になる。

選者吟

春めくや歩き疲れて座る石龍雄

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