7月の投句箱

2018年7月のお題「サングラス」

本来は真夏の紫外線から目を守るためのものですが、
今やおしゃれアイテムの一つともなっていますね。

今回の選者

田丸千種(たまる ちぐさ)
田丸千種のアイコン
日本伝統俳句協会本部講師 俳歴30年
第26回日本伝統俳句協会賞受賞
句集『ブルーノート』で与謝蕪村賞奨励賞

特選1

大人びてゆく妹やサングラス月花

選評

少年にくらべ少女は早熟。
その頃の女の子には止めようのない時間の流れが押し寄せて、みるみる大人になっていく。
奔放な夏のサングラス。サングラスの下には、もしかしたら幼い表情を残しているかもしれない。
妹と共有していた日々はもはや過ぎ去って行くという感慨か。

特選2

サングラスの女まつすぐ通り過ぎ隣安

選評

はっと目を惹く女性がやって来る。
そして目の前を通り過ぎていく……、たったそれだけのシンプルな光景。
であるからこそ「サングラス」のもつ物語性が遺憾なく発揮される。
読者は、女の事情や作者の気持ちを様々に妄想する。
我々にとってサングラスは今なお夢を秘めた舶来品。

特選3

堅物な祖父の遺品にサングラス銀雨

選評

「祖父」がいい。
父ならまだしも、祖父の若かりし頃とは、およそ想像が及ぶべくもない時代の彼方。
遺品の中にうっすら埃をまとう分厚いサングラス。
堅物に見えていた祖父の生涯が、このサングラス一つで塗り替えられる。
「遺品の」とすれば、いっそう余情が広がるかも。

佳作

サングラス架けてますます黒い顔甲賀忍者
サングラス外し故山の駅に立つ今村征一
サングラスかけてばあちやん畑に立つ ポン吉
サングラスかけて世間を傍観す佳月
貴方さへ水の色にしサングラスいるか
サングラス掛けて気になる人目かな伊藤順女
サングラス若大将も老いにけり真夕
ポンペイや地の修羅に立つサングラス隠岐灌木
颯爽と米寿の叔母のサングラスせいは
陽ではなく君眩しくてサングラスうてな
サングラス外して虹を眺めけりジャマ
生涯に一つ持ちたるサングラス盆の月
サングラスとりて患者の貌となる比々き
サングラス涙一筋拭われずちよ
お子様ランチにおまけのサングラス菊池洋勝

今月の気になる1句

タモリの目小さく透けてるサングラス
今回、サングラスをかけた裕次郎や健さんや女優たちの登場する句がたくさんあった。その中で、写生に徹したこの句が絶品。
が、如何せん、タモリ氏のサングラスに限っては季節感がなくて、ごめんなさいした句でした。

選者吟

サングラス七つの海を見て来しと千種

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