7月の投句箱

香水

「香水」

一年中使うが俳句では夏。最近は男性も使う。

今回の選者

小川龍雄(おがわ たつお)
小川龍雄のアイコン
1952年生まれ
1978年から句作
日本伝統俳句協会理事

特選1

香水や男もすなる薄化粧遊子

選評

最近の若者像。肌の手入れから化粧、香水までさぞ大変だろうと思う。

特選2

香水の魔法をかけて雨をゆくはぴのぐ

選評

この魔法は自分自身にかける魔法だろう。鬱陶しい雨の中、魔法の効果はあったのだろうか。

特選3

たはむれに振りし香水つきまとふみなづき

選評

一寸したいたずら心でつけてしまった香水を後悔する作者。

佳作

香水の嫌ひな妻と五十年山畑 洋二
香水や長き黒髪さつさうと麦秋
香水や刃物のごとき一語なりまつだまゆ
女教師の香水ほのと匂ひけりのりこ
まだ匂ふ使ひ切つたる香水瓶たんくろう
香水や女の素顔あどけなき雲母
調合の香水未だ出番無くあつ子
断捨離の香水瓶と肥後守丸に桔梗
香水の君と夜風の観覧車さむまうす
香水の香だけ降り来るエレベーター山太狼
工場の香水混じる更衣室蛾触
香水を一滴琥珀色の肌赤青鉛筆
封切らぬ巴里の香水形見分け彩楓(さいふう)
香水の残り香ほのと母娘連れ高須翔光
香水の似合ふ八十路の凛として伊予尚女

気になる1句

香の小瓶妻命日に娘へと
香の小瓶は香水の瓶のことだろうが、これでは無季になってしまう。
香り水、香る水も少し苦しい。香水は香水として独立している。

選者吟

香水の香を鎧ひたる婦人かな龍雄

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