2月の投句箱

春一番

「春一番」

立春を過ぎて最初に吹く強い風のこと。
春の到来を告げるものです。

今回の選者

田丸千種(たまる ちぐさ)
田丸千種のアイコン
日本伝統俳句協会本部講師 俳歴30年
第26回日本伝統俳句協会賞受賞
句集『ブルーノート』で与謝蕪村賞奨励賞

特選1

春一番ふんばる応援団旗かな隠岐灌木

選評

天下分け目の決戦に応援団はいやが上にも盛り上がる。団旗を任せられている名誉をかけて、丹田に力をこめて突風に立ち向かう。最後の「かな」によって、「春一番」と「応援団旗」が「vs」になっている仕掛け。力強い緊迫感が伝わる。

特選2

春一番きてメデューサめく女ねこまねき

選評

メデューサはギリシャ神話に出てくる毒蛇の頭髪を持つ怪物。“逆立つ髪がメデューサのよう”というのではなく、女そのものがメデューサだと断定して面白い。もともとメデューサ的な人なんでしょうね。

特選3

前のめりがちの大仏春一番蕨 一斗

選評

鎌倉大仏であろうか。前傾している大仏の描写とはいえ、いやしくも仏様に対して「前のめり」とは……!その不遜?な表現が俳諧味である。

佳作

 

交番の空けつぱなしや春一番鈴木総史
信号の変はりし時に春一番一草
春一番里島めぐりの船小さしさざなみ沙弥
春一番スカートの丈短くす相沢はつみ
春一番艫綱きしむ船溜り秋山白兎
潮の香を乗せて海峡春一番真冬
湖の色塗り替へてをり春一番たつき
春一番起き上がりたる東山京おんな
春一番二番と山はむらさきに谷司
花嫁のベール膨らむ春一番桔梗
予報士の春一番と楽しげに戯句洒句
ひと山の古着売りけり春一番
ビル街をぶつかりて行く春一番りん
老いし村に春一番や子の生まれ良明
そこにある山を盾とし春一番月乃桂子

選者吟

翻る今日の運勢春一番千種

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